今度の現場は道路改良だよ。
気にしなきゃいけない事だらけで大変なんだよな。
今から気が重いぜ。
現場始まる前からそんなこと言ってても仕方ないよ。
やれる事からやっていこうじゃないか!?
こんにちは。
都内近郊で17年間、土木工事の現場監督をしているはんおじ(@hanpen-ozzy)です。
今回はストレスの多い業務ランキングでも首位を狙えるのではないか!?と自負している現場監督のストレスについてです。
私が過去に経験した道路改良工事を例にストレスの原因とその対処法について考察してみたいと思います.
今現在ストレスをとても感じている現場監督の方や、これから道路改良工事をやる予定の方の参考になれば幸いです。
この記事でわかること
- 公共土木工事「現場監督視点」での全体の流れとは?
- 道路改良工事のストレスポイント
- ストレスの原因「3選」と対処法(振り返り)
- そもそもストレスとは悪なのか?
【現場監督視点】公共土木工事は大まかにこんな流れ
まずは現場監督視点で公共土木工事の全体感についておさらいしたいと思います。
流れとしてはおおまかにとらえれば下図のとおりになります。
各ステップにおける業務は以下のとおりです。
Step1 着工準備
着工準備段階では一例として下記のような業務をおこないます。
着工準備業務の一例
- 会社で落札した工事案件を、部長などの上司から担当者として指名され、引き継ぎを受ける
- 発注者への挨拶
- 着工前に行う関係各所手続き関係や、発注者への書類提出
- 施工ヒアリングの実施
- 実行予算作成、その他
Step2 施工管理
着工してから施工中の業務の一例としては下記の内容が挙げられます。
施工管理業務の一例
- 施工班や協力業者との施工打ち合わせ
- 設計と現場の相違箇所の協議
- 位置出し、丁張りの設置
- 出来形、品質管理基準に沿った施工管理の実施
- 進捗に応じた工事PR
- 工程管理、写真撮影整理
- 日々の進捗管理
- 予算と原価の管理、変更契約関係書類作成、その他
Step3 竣工検査
施工が終わったら検査を受けて合格しなければ工事金額をいただけません。
これまで施工してきた集大成を検査員にぶつけるため一生懸命資料などを準備します。
竣工検査業務の一例
- 出来形管理・品質管理・工事写真などの竣工書類作成
- 現場のマーキングや清掃などの竣工検査準備
- コリンズ竣工登録
- 下検査
- 本検査
Step4 竣工後業務
竣工検査が無事終わってもしばらくは下記のような業務があります。
竣工後業務の一例
- 手直しなど
- しゅん功図面作成・製本
- 電子成果品の整理、提出
- 下水道局や道路管理者など各関係機関への引継ぎ書類・データの提出
以上のように各ステップごとになかなかの業務量があることがわかりますね。
あらためて書き出すと手汗と足汗がジワってきます。
道路改良工事ってどんな仕事?
道路改良工事は、現在の道路幅を大きくするためだったり、道路の位置や高さを変えるための工事です。
周辺構造物との取り合いをたくさん検討する必要があったり、光波を用いてたくさん位置出しをしたり、レベルで毎日高さを見たりするので、現況道路上で行う工事としてはかなり難易度が高めの工事ですね。
私が思うに、道路改良工事を竣工することができたら現場監督として一人前の証かなと思います。
道路改良工事ができるのであれば、おそらくどんな工種の工事でもやり切れるスペックが備わっているはずです。
道路改良工事はどんな工種があるか
道路改良工事に含まれる工種としては以下のものがあります。
道路改良工事によくある工種
- 舗装版切断・舗装版撤去・街きょブロック撤去など各種撤去工事
- 道路土工(掘削・発生土搬出)
- 下水道管布設工
- 標識工
- 安全施設工(横断防止柵・防護柵など)
- 道路照明工
- 路床改良工(石灰・セメント・砕石置換え)
- 排水施設工(L型側溝・自由勾配側溝など)
- 舗装工
- 区画線工
たくさんの工種があり、施工計画書を作るのも大変。
それぞれ構造物の取り合い(高さ・位置)や設計のバーチカル計算の精査も大変。
個々の工種の数量が少ないのでうまくやらないとお金も残らない。
現道なので車を通しつつ日中に片側交互通行などの規制をして施工していくため、施工ステップを入念に練り工程を緻密に組まなければ爆死します。
それだけ責任のある大きな壁です。
道路改良工事のストレス原因「3選」とその対処法
それでは私の経験から道路改良工事のストレス原因と対処法について3つに絞って以下にまとめます。
ストレス原因その1.「1人や2人では到底やり切れない仕事量」
前述したとおり、道路改良工事は工種が多いうえに現在使っている道路でおこなう工事なので様々な支障となる事象が出てきます。
なので、図面と現地を見比べて自分で考えて「あそこを測量して高さを確認しよう」だとか「ここは取り合いが合わないから相談しよう」「埋設があるから下水道管が当たってしまう。協議が必要だ」などと確認をしなければいけません。
また、同時進行で施工計画書を筆頭にたくさんの書類作成が必要です。
そのほかにも着工準備では先に挙げたような準備が必要ですので、1人2人ですべてを完了させられるほど楽ではありません。
この準備段階で現場代理人の頭の中はパンク状態でストレスMAXです。
ではどうしたら良かったのでしょうか。
いま考えると以下の対処法が考えられます。
対処法
- 落札決定し担当者が決まった瞬間、手持ち工事がなければ誰かの手伝い現場なども断り、とにかく専念させてもらうこと
- 上司にも騒ぎ立て、できる限りの協力体制をあおぐ
- 自分なりの現場精査と上司の現場精査を突合し、精査精度を上げる努力をする
- 工程表にある程度細かい作業も落とし込み、進捗管理(間に合わない事は協力を要請)
- お金や工事評価に影響しなさそうな業務は最低限の品質で駆け抜ける
書いていて上記対処法はどの工事にも共通な内容にはなってしまいましたが、道路改良工事は特に極端に気をつけないといけない内容かと思います。
ストレス原因その2.「設計図面の整合が取れていない」
設計図面を信じてはいけません。
設計図書は設計コンサル業者が作成することがほとんどですが、かなりの確率で間違いはあります。
100点満点ということは少ないです。
だから着工前に時間を取って図面に書いてある数字を一つずつ精査しなければいけない。
この時間が無く、曖昧なまま着工したことはたくさんあるが、それはもう施工が止まること止まること戻ること。
現場が止まると発注者・協力業者・会社から冷たい視線がそそがれます。
工程は遅れていくしお金も食われていく。
ほんとストレスでしかありません。
対処法
- 会社内の誰かに図面精査の協力をあおぐ
- 上司と相談し、コンサルや測量業者・書類作成屋などに精査を外注する
- ほかの仕事を誰かに振って図面精査をおこなう時間をつくる
ストレス原因その3.「現況道路高が大幅に変更になる」
これのせいで私の眼が見えにくくなったと言っても過言では無いくらい悩んでしまいましたね。
あとから考えればそこまで1人で悩まないで早く誰かに相談すればよかったと思うんですけど、その頃の私は「俺がやってやる!」と謎にやる気MAXだったんですよね。
当時施工した現場は、道路の計画高が現況よりも30cmも下がる設計でした。
しかも60型プラス路床砕石置換え60cm。
片側一車線ずつで間に取付道路もあって、「現道通しながら一体どうすれば!?」とめちゃくちゃ悩みましたね。
なかなか言葉では伝わりにくいとは思いますが大変な現場でした。
対処法
- 1時間くらい考えて良い案が出て来なければ同僚や上司に相談する
- それでも良い案が出てこなければ発注者とも相談
- それでも良い案が出なければ設計したコンサルに問い合わせてもよかったかも
そもそもストレスとは悪いものなのか?
樺沢紫苑著『ストレスフリー超大全』によると、ストレスとは無くす必要はないとしています。
たとえば、発注者の各種検査時はプレッシャーや緊張を感じてストレスが発生しますよね。
しかしその不安のおかげでいろいろな事を想定して準備し、何度もシュミレーションをします。
その結果、検査対策が万全なものとなり良い結果が残せますし、自分のスキルも上がります。
このように適度なストレスは、脳の働きを活性化して集中力を上げ、記録力も高めます。
反対にまったくストレスのない仕事ばかりしているとスキルは上がりませんので、自己成長を感じることはなく、何か物足りない毎日になります。
しかしあまりに強いストレスを感じたり、軽度のストレスでも溜め込みすぎると良くないようです。
樺沢氏の著書によると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥らないために大事なことは、
寝ているときにストレスがない状態になっている、ということ
次の日にストレスや疲れが持ち越されていない、ということ
ストレスに対しては「耐える」という考えよりも竹のように「しなやかに受け流す」イメージが必要です。
まとめ:現場監督のストレス原因とその解消法|道路改良工事の経験より
今回の記事では、私が担当した道路改良工事の経験から現場監督のストレス原因とその解消法について考えをまとめておきました。
再度、簡単に抜粋してストレス原因と対処法をまとめますと、
ストレス原因その1と対処法
原因:「1人や2人では到底やり切れない仕事量」
対処法:その現場に専念させてもらい、できる限りの協力体制をあおぐ
ストレス原因その2と対処法
原因:「設計図面の整合が取れていない」
対処法:設計図面の精査を自分でやるor社内の誰かに頼むor外注に頼む
ストレス原因その3と対処法
原因:「現況道路高が大幅に変更になる」
対処法:良い案が思い浮かばなければ、上司や同僚、発注者や設計コンサルに相談する
現場監督は日々、様々なストレス要因にさらされており非常に大変な職業だと思います。
しかしストレスを乗り越えた先には必ず「自己成長」というご褒美が待っています。
なので、ぜひ頑張ってストレスに打ち勝ってほしいと思っています。
ストレス軽減について学びたい方は樺沢紫苑先生の著書がためになります。
それでは今回はこのへんで。